17日(金)、サイバー刑法と呼ばれる「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」が成立し、7月1日から施行されます。
今回の改正で、
1. いわゆるコンピュータウィルスの作成・供用等の罪の新設
正当な理由がないのに,人の電子計算機における実行の用に供する目的で、人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録を作成、提供、供用、取得、保管する行為を処罰する。
→作成・提供・供用:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
取得・保管:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
2.わいせつ物頒布等の罪の処罰対象の拡充
わいせつな電磁的記録の電気通信の送信による頒布行為を処罰する。
※ 不特定又は多数の者に対し,わいせつな画像データを電子メールで送信する行為などを処罰するもの。
3. 電子計算機損壊等業務妨害未遂の処罰
が盛り込まれました。
国内のコンピュータ・ウィルス作成者の摘発は2008年が初めてで、その当時は、直接、処罰する法律がなく、著作権法違反、名誉毀損罪で摘発しました。(ちなみに摘発はWinny(ウィニー)事件で一躍、その名を全国にとどろかせた猛者集団 京都府警ハイテク犯罪対策室です)
ちなみに京都府警ハイテク犯罪対策室が2008年までに摘発したサイバー犯罪は、
2001年 「WinMX」利用者の著作権法違反事件
2003年 「ウィニー」利用者の著作権法違反事件
2003年 ネット上でパスワードを入手・売買するID屋逮捕
2004年 「ウィニー」開発者を著作権法違反ほう助容疑で逮捕(上告中)
2005年 ワンクリック詐欺のソフト開発者逮捕
2005年 大量の迷惑メール送りつけを有線電気通信法違反で摘発
2006年 偽のオームページに誘導するなどして個人情報を盗み取るフィッシング詐欺組織摘発
2008年 「シェア」による著作権法違反事件
2008年 コンピューターウィルスの作成者を逮捕
2008年 携帯電話「着うた」の無許可ダウンロード事件。ほう助でサーバー管理会社の責任を問う
があり、多くに著作権法等が使われており、直接、罰する法律がなかったことがうかがい知れます。
そういう意味では取り締まる警察側としては念願の法改正で、サイバー犯罪を罰する直接法という入り口が作れたということになるのかも知れません。
逆に拡大解釈を恐れる声もないとは言えません。
ただやはり国内法の整備は急がれることですし、また、外国の法律や法整備がどうなっているのかとても関心があります。
もしかすると国という枠を超えた条約が必要なのかも知れません。
今回の改正に関する情報は法務省ホームページに詳しく掲載されております。
概要 → http://www.moj.go.jp/content/000073752.htm
Q&A → http://www.moj.go.jp/content/000073750.htm
以上、皆様のお役に立てば幸いです。
投稿者:株式会社コストダウン 日時:06:24 | 記事URL