本日(21日)の日経朝刊 第1面に記事掲載されました。
それによりますと昨日(20日)、経済産業省が検討中の来夏の電力需給対策案が明らかになり、明日(22日)に開かれる産業構造審議会(経産相 諮問機関)で提示されるとのことです。
ご存じのように東北電力、東京電力管内では残念ながら電力事業法第27条が発動されております。
このことにより罰則という形で強制的に企業に節電を迫ることになり、生産活動、ひいては経済活動に少なからず影響を及ぼしております。
経済産業省では、来夏は生産活動、経済活動への影響の少ない対策を検討しております。
定期検査中もしくは今後、定期検査に入る原発の再開可否次第では、原発による発電のない沖縄電力管内以外のほぼ全国での節電が必要になります。
来夏の節電は、その根底の考え方を「節電しなければ罰則を科す」(ムチ)のではなく「節電すればメリットがある」(アメ)に変えます。
まず、大口需要家との間で、想定される最大使用電力を決め、実際の使用電力が想定を下回れば、その分だけ電力会社が買い取ることで、実質的に料金を割り引くことになる契約メニューを電力各社に加えさせる案。
電力会社にとって需給逼迫は高コストの発電所稼動につながります。企業の節電が進み、高コストの発電所の稼動が不要になれば、むしろ促進・割引をした方がメリットがあり、また全体的に電力の引き上げ幅を抑えることが出来ます。
次に電力会社が電力の一定割合を卸電力取引所から仕入れる制度を設ける案。
今は電力会社は企業の自家発電で余った電力を、取引所からの仕入れを避け、企業から直接相対(あいたい)(ありていに言えば、おたくはいくら、おたくはいくらで買いますということ)で購入する傾向が強いようです。
結果、自家発電設備を保有しながら、売れるか売れないかわからない、仮に売れたとしても採算割れすることを嫌い設備を休止している企業も多くあります。
それを電力会社が卸電力取引所から一定割合を調達することにすれば、設備を休止している企業の再開稼動→売電利益獲得というメリットも生まれ、取引所での売買も活発化します。
そうすれば休止分も含め合計4396万キロワット(電力会社第2位の発電能力を持つ関西電力の最大出力を上回る)と試算される全国の自家発電の余剰?供給力をフル活用できる可能性も出てきます。
経産省の集計では、定期検査で停止中の原発が再開できなければ、来夏も東北、東京、北海道、北陸、関西、四国、九州電力の7社(中部、中国、沖縄電力含まず)で、10%を超える電力供給不足に陥るということです。(ただ、今後、定期検査に入る原発も含めるとさらに数値は増えます。エリアも拡大する可能性があります)
原発の代わりに火力発電所を稼動させた場合、増えた燃料費を料金に転嫁すると、関電で20.5%、九電で14.8%、東電で12.3%の値上げにつながるそうです。
その他の案としては、自然エネルギーの全量買い取り制度の導入、ガス冷房、家庭内の消費電力を制御するシステム、住宅用太陽光発電などの導入に補助金を出す制度の導入、白熱電球からLEDへの買い替え促進等が上げられています。
震災後始まった節電率について、私(代表 片桐)が気になるのは、いつの年の消費電力量と比較するのかということです。
今夏については前年(2010年度)対比で問題ないと思います。しかし、来夏については電力各社横並びにするのであれば、2011年度対比ということにならず、2010年度対比になるのではないかと思います。ただ、27条が発動されていない東北、東京電力以外は2011年度対比になる可能性もあります。(電力会社にとってはその方がコストはかからない訳ですから)
この辺りはまだまだ綱引きが行われると思います。
ただ、温室効果ガス削減という観点からすると、去年より前から節電に積極的に取り組んで来た企業こそ注目されるべきです。そうした企業ほど削減ののりしろは少ないのですが、そうい企業ほど前向きに捉えて取り組まれる真の節電企業です。
そうした企業には積極的に名誉を与えるべきだと思います。
以上、皆様のお役に立てば幸いです。
投稿者:株式会社コストダウン 日時:06:04 | 記事URL