3月16日、0:50 地上2階の東急 旧渋谷駅を最終電車が出発したあと、それまで8年がかりで工事が進められていた地下5階の新渋谷駅から隣の代官山駅までの線路が4:46までの何と約4時間で接続され、渋谷~代官山間の地下化が完了しました。
京都に住んでいる私(代表 片桐)は1ヵ月前、「なぜこれほどのニュースになるのか」とぼんやり感じたことを覚えています。(逆に申せば「何を今さら」と思われる方も多いことでしょう)
先週10日(水)、放映されましたNHKクローズアップ現代「広がる地下迷宮 ~都市の地下開発最前線~」を観て知りました。
番組では、この日本鉄道史上最大で最速の渋谷駅の引越しを実現したのは日本が誇る地下土木技術だということです。
観てみて非常に面白い内容でした。
東京の地下は13の地下鉄路線が複雑に上下に交錯し、左右に広がり、タイトルにあるように正に迷宮状態です。
地下の大規模開発は公共施設に限られており、地権者は地上の土地と同じ地権者ということで、開発コストを安くする為に、地上を公共の道路や鉄道等が走っている地下が選ばれます。
ですから地下にも関わらず急なカープがあったり、坂になったりします。
地下鉄の急なカーブは地上の大きな較差点を曲がっていたり、坂は先に開通している地下鉄を避ける為のようです。
副都心線、新宿三丁目駅ホームの安全柵は手前は低く、中央で少し高くなり、奥はまた低くなっています。
それは丸ノ内線の下を通り、新宿線を上に避ける為に坂が出来た結果です。
結果、新宿線との隙間は僅か11センチだそうです。
こうした工事を可能にしたのは、日本のトンネル掘削技術の進歩によるものです。
地下を大きな掘削機(シールドマシン)が掘り進みながら、後ろにトンネルを作っていきます。
地下鉄・鉄道だけでなく世界最長となる地下高速道路・山手トンネルも全面開業まであと1年を切りました。
また電気、ガス、通信、水道などのライフラインも地下を通っています。
そう考えると本当に迷宮状態です。
さらには地下開発の促進の為に、2000年には大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(通称:大深法)が制定されました。
この法律により地下40mより深い空間は通常利用されないと考え、この空間を大深度と定義し、民間所有地であっても保証金なしで地下開発を認めるというものです。
三大都市圏(首都圏・中部圏・近畿圏)だけが対象で公共工事に限られます。
2027年の開業を目指すリニア中央新幹線もこの法律を東京や名古屋周辺で利用し地下トンネルにする計画です。(ルートの多くが地下を通ります)
日本が誇れる輸出技術です。
ただやはりどこまでいっても地震、大雨・豪雨、火災に対する心配はつきまといます。
地下開発により地盤そのものがどんどん弱くなっていくことも考えられます。
利便性とリスクをきちんと考え将来、未来に取り組むべきことです。
以上、皆様のお役に立てば幸いです。
参照:
NHKクローズアップ現代「広がる地下迷宮 ~都市の地下開発最前線~」 全文表示
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3332_all.html
投稿者:株式会社コストダウン 日時:18:48 | 記事URL